近年施設建設のデザインに求められる社会的役割の一つに周辺社会との良好な関係性を築くことが問われている。その際に重要な要素が建築の開口部であり、それを形成するフロント材を使ったデザインである。建築の施設内容が周辺社会に開示されれば大きく社会貢献に寄与する。この事はブラックボックス化する現代社会の都市環境ににおいて極めて意味のあるデザイン行為であり、開口部の重要性を示唆するデザイン事例として評価できる。「LIXILフロントコンテスト2017」に応募された作品を概観するとこうした内外の関係性に着目した作品が多く、本審査ではいわゆるCSR に貢献するような開口部のフロントデザインを重視して選考を行い、本年度の作品を選定した。受賞した作品から読み取れるデザインの基本理念に共通して言えることは、少子高齢化や人口減少、更に高度情報化といったこれからの社会問題を背景として、人々の関係性が希薄になる都市や地域社会に改善を促すソリューションを提示した点であり、フロント材と施設建設の調和、デザイン、加工・施工技術にとって極めて価値のある贈賞である。 |