巨大施設にもかかわらず軽快なデザインがすばらしい。集客数や売り上げなどシビアな与件を満たしながら,さりげなく気持ちのよい空間をつくる技術は見事である。そしてこうした印象を与えることに寄与しているのがフロント材である。言い換えれば良好な商業空間を形成するために,フロント材の担う役割は大きい。特にフードコートを覆う壁面および小さな開口と、シングルロードのモールなど動線と店舗配置が斬新である。これは中庭空間と絶妙な関係性の上に成立したデザインであり、フロント材による開口デザインが大きく貢献している。良い素材と良いデザインが出会ったときに化学反応が起きるのだとつくづく思う。商業施設の進化は早く、難しい条件をクリアする高度な設計が必要である。ららぽーとが展開する大型複合施設の中でも、当該物件は回遊と滞留を促す空間特性と、採光性の面で極めて先進的であり、これを支える低層カーテンウォールや大型スクリーンの特徴を生かした完成度の高いデザインは、本年度のグランプリに値する。 |