少子化社会やテクノロジー革命など学校を取り巻く社会的環境が変わりつつある。現代の中学生や高校生はデジタルネイティブとして、コミックや映画等のコンテンツ産業など文化表現の担い手となる。こうした背景から学校建築に求められる条件は教育の場だけでなく、文化を体現する場として見る見られる劇場的性格を帯び、そのデザイン性もミレニアル世代の子供とその親世代の人々に訴求することが求められる。本作品はこうした社会的背景に明快な方向性を示唆するデザインとして評価した。改築工事ではフリースペースの創出や、耐震補強など機能的予見を満たすだけでなく、多目的(音楽)ホールなどスタイリッシュなライフスタイルの学生生活を演出するデザインは、これまでの学校建築を超える訴求力がある。特に正面のカーテンウォールはアイコンとして学園生活や活動を表出させ、照明や内光式サインシステムと共にフロント材の新たな可能性を導き出した。学校と地域社会の関係性を重視したデザインの計画理念は非常に価値のある成果として賞賛に値する。 |