現代建築デザインの大勢が近代主義に大きく影響を受け、また日本ではエンジニアリング技術を重視する社会状況の中で、 古来日本が培った伝統や思想を現代に生かすことが非常に難しい。とりわけ建築開口部やフロント施工に焦点を当てると、環境性能や経済性が重視され、内外を仕切る伝統的手法や精神性が忘れ去られて久しい。この作品はこうした日本の内外を繋ぐ伝統や思想を大胆にデザインしながら、幾重にも繰り返し建築内外を実に繊細に仕切り繋ぐ伝統的な重層する開口空間を現代に創造した卓越した施工例と言える。