おしらせ

地震による引違い窓の落下防止について

2004年10月23日に新潟県小千谷市を震源として発生した新潟県中越地震はマグニチュード6.8の直下型の地震で、兵庫県南部地震以来9年ぶりとなる最大震度7を記録しました。
この地震によるスーパーウォール工法住宅の被害状況を調査した結果、引違い窓の障子がはずれて室外に落下している現場が発見されました。
幸い障子の落下による人身事故は発生しませんでしたが、弊社としてはこの事態を重視し、東京大学生産技術研究所の腰原幹雄准教授 ※にご協力いただき、外れ止め部品を調整していれば、大きな地震がきても障子が落下しないことを試験で実証しました。つきましては、大きな地震に備えて、外れ止め部品の調整は必ず行っていただけますよう、お願い申し上げます。


腰原幹雄准教授 プロフィール

■引違い窓の落下原因

障子はけんどんで建て込むため、上枠レールとの間にチリを設定しています(図A)。そのため、地震が発生して縦揺れが起こると障子が浮き上がり(図B)、さらにこのとき横揺れが加わると障子がレールからはずれて落下すると考えられます(図C)。

引違い窓の落下原因図

■外れ止め部品による落下防止

引違い障子は、障子を開閉しているときに障子がころんで落下しないように、外障子召合框上部に外れ止め部品を標準装備しています。外れ止め部品を調整すると、障子と上枠レールのチリが小さくなり、上下方向の力が働いても障子が浮き上がりません。

  外れ止め部品の位置
外れ止め部品による落下防止図 調整前:チリが開いている  調整後:ネジを上げると外れ止め部品が上がりチリが詰まる
 

新潟県中越地震で落下した障子は、すべて外れ止め部品が調整されていませんでした。

  新潟県中越地震で落下した障子は、すべて外れ止め部品が調整されていませんでした。写真

【対策】外れ止め部品の調整

外れ止め部品の調整は、障子を建て込んだ後にネジを一旦緩め、開閉に支障がない程度に上げて、ネジをしっかり締めて固定します。


地震による引違い窓の障子の落下は外れ止め部品が調整されていないことが原因であり、外れ止め部品を調整すれば障子の落下を防止できることがわかりました。

地震による人身事故を防止するため、外れ止め部品の調整は必ず行っていただきますようお願い申し上げます。

 
はずれ止め部品の調整方法 手順1:ネジを緩める  手順2:位置を調整する  手順3:ネジを締める
 

この調整方法は、外障子召合框の上部に貼り付けているラベルにも記載しています。

  調整方法ラベル位置 シンフォニー:外障子招合框の室内面に記載  デュオ:外障子召合框の見込面に記載
 

腰原幹雄氏 プロフィール
東京大学生産技術研究所 准教授

【学歴】 1992 東京大学工学部建築学科卒業
  1994 東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修士課程修了
  2001 東京大学大学院工学系研究科建築学専攻博士課程修了博士(工学)
【職歴】 1994-2000 構造設計集団<SDG>
  2001-2005 東京大学大学院工学系研究科助手(坂本・松村研究室)
  2005-東京大学生産技術研究所准教授

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