かつての帝大らしい大型で重厚な建物、ロマネスク様式やゴシック様式を取り入れた歴史的建造物である。ここに新たな要素を加える時にデザインはどうあるべきかという難問にたいして、当該物件のデザイナーは明快な解決を提示した事例として非常に高く評価できる。この古さに新しさをぶつけた挑戦的なデザインは審査員の目をひきつけた。古く重々しいレンガ造に対して、軽快な鉄骨とガラスという素材をあえて使うことでより歴史を際立たせるデザイン手法は、日本に於いて非常に希有な存在として価値があり、日本国内に数多く残存する歴史的建造物の更新に新たな可能性を与えたと言っても過言ではない。
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