プロジェクトプランナー 真壁智治をモデレーターとし、第一線で活躍する建築家をゲストに招き、現代における住宅計画の"研究"と"設計"の両面から討議します。

第5ターム
“場所性”と“形式性”の間で(3/3)
木下庸子×乾久美子×真壁智治
第5ターム
“場所性”と“形式性”の間で(2/3)
木下庸子×乾久美子×真壁智治
第5ターム
“場所性”と“形式性”の間で(1/3)
木下庸子×乾久美子×真壁智治
第4ターム
集まって住むことの新しいかたち(3/3)
西田司×中川エリカ×篠原聡子×真壁智治
第4ターム
集まって住むことの新しいかたち(2/3)
西田司×中川エリカ×篠原聡子×真壁智治
第4ターム
集まって住むことの新しいかたち(1/3)
西田司×中川エリカ×篠原聡子×真壁智治
第3ターム
2010年、建築家が考える「エコハウス」(3/3)
竹内昌義×難波和彦×真壁智治
第3ターム
2010年、建築家が考える「エコハウス」(2/3)
竹内昌義×難波和彦×真壁智治
第3ターム
2010年、建築家が考える「エコハウス」(1/3)
竹内昌義×難波和彦×真壁智治
第1・2ターム総括(後半)研究と設計の距離
真壁智治
第1・2ターム総括(前半)研究と設計の距離
真壁智治
Vol.11〜16
第2ターム
小泉雅生×高橋晶子×真壁智治
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Vol.0〜10
第1ターム
難波和彦×篠原聡子×真壁智治
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家の知/討議 vol.2第1ターム
家族の多様性が求める新しいライフスタイルと家のカタチ
難波和彦×篠原聡子×真壁智治
ディベロッパーに見る新しいライフスタイルを提案することの可能性
難波:
ここ数年、僕はグッドデザイン賞の住宅部門の審査をしているのですが、そこで感じたのは、現代の住宅の方向性が、住宅の形態によって大きく4方向に分かれてきているということです。その4つの形態とは、建築家による戸建住宅、ハウスメーカーの商品化住宅、大手ディベロッパーが供給する超高層マンション、そして中小ディベロッパーが供給する賃貸マンションです。
まず、建築家が作る住宅は、確かにデザインはされているのですが、時として社会性に欠け、個人的なアートとしての表現にとどまっているものも見受けられる。一方、戸建住宅を大量に供給しているハウスメーカーは、省エネルギーやライフスタイルといったテーマで良い提案を行おうとしているのだけど、やはりここでも社会的提案というまでには至っていない。大手ディベロッパーの超高層マンションなども、旧態依然としたnLDKを反復するだけでなく、住戸についてのヴィジョンがあるとより良い方向に向かうと思うのですが。
そういう中で、最も頑張っていると感じるのが中小ディベロッパーの賃貸住宅です。もちろん奇形的なデザインもありますが、さまざまなバリエーションの住戸が出てきていて、これからのライフスタイルのようなものであるとか、社会的なメッセージが見え隠れするんです。賃貸住宅はライフスタイルや家族像を限定することが可能なので、提案性が高い。こういった賃貸住宅の提案が、もう少し支配的になってくると、人々の住まい方が変わるのではないかという予感がします。だから僕としては、建築家はもっと賃貸住宅に正面から取り組んで、社会的なライフスタイルの提案をしてほしいと思います。
真壁:
たしかに、90年代以降、新しいライフスタイルの提案をしようとした例はいくつかありました。例えば、土地や家屋の世代交替が進むなかで、ひとつのモデルとして「二世帯住宅」がありました。しかし、これは展開したけどハウスメーカーは積極的に定着できなかった。二世代、二世帯が何を共有して一軒の家で暮らすかという価値観を提案せずに、物理的な形としての家だけ出来ても、結局、具合の悪いものに映ってしまったということです。その後も、土地の分割などで加速する極小住宅が生む都市型というテーマが持ち上がりましたが、これもなかなか住宅の新しいプロトタイプとして描き出せないでいます。むしろ、単身者、高齢者、カップル(DINKS)、親子(パラサイト)などの、住み手のライフスタイルからの提案が望まれているように思うのです。このような、多様化した「家族」や「世帯」への対応として、社会的な提案をしていくことがポイントになるでしょう。
篠原:
例えば、家族の形の多様化を受けて、ハウスメーカーは自由設計という謳い文句と共にあるユニットを想定して作るのですが、そこに難しさがある。ルームシェアからコレクティブハウスに至る多様性をハウスメーカーがどのように受け取るかということは、重要になってきますよね。私はそのときに家族のタイプの数だけ、家のタイプがある必要はないと思っていて、家族でもルームシェアでも住める家というくらいのラディカルな挑戦があればいいと思います。
真壁:
その根拠になるような研究や調査もある程度進んでいるわけだから、先ほど、難波さんが指摘した4種類の住居が、篠原さんが研究されてきた家族のスタディというものをベースにしていけば、これまでにない可能性が導きだせそうですね。
篠原:
そうですね。あと、経済の仕組みや法制度に関しても切り離して考えることはできません。例えば、先ほど難波さんがおっしゃったディベロッパーの賃貸に面白いものができるという話ですが、「賃貸」という金融システムは、家族の形態に縛られないという点も挙げられます。例えば、「分譲」の集合住宅などは家族とワンセットなのですね。何故かというとお金を借り入れる場合、それは世帯主に対して行われるもので、極論、友達同士で借り入れることができない。
難波:
日本の土地や建物にまつわる税制や賃貸のシステムが、人々の暮らし方の選択に大きく影響しているということですね。「家族」にまつわる様々な社会的状況を考えあわせながら、新しいライフスタイルを提案していくことが、これからも求められていくのだと思います。
