世界の名作住宅と呼ばれる家、その中でも「開口部」を中心にスポットをあて、ディテールの秘密に迫ります。建築家 堀啓二氏による、既製品サッシを念頭にこれからの家に使える・生かせる検証と解説を展開してゆきます。
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マリオ・ボッタの開口部 〈前編〉 - Vol.16
スカルパの開口部 〈後編〉 - Vol.15
スカルパの開口部 〈前編〉 - Vol.14
R.M.シンドラーの開口部 〈後編〉 - Vol.13
R.M.シンドラーの開口部 〈前編〉 - Vol.12
ミース・ファン・デル・ローエの開口部 〈後編〉 - Vol.11
ミース・ファン・デル・ローエの開口部 〈前編〉 - Vol.10
ル・コルビュジェの開口部II 〈後編〉 - Vol.9
ル・コルビュジェの開口部II 〈前編〉 - Vol.8
ルイス・カーンの開口部〈後編〉 - Vol.7
ルイス・カーンの開口部〈前編〉 - Vol.6
ル・コルビジェの開口部
近代建築の5原則〈後編〉 - Vol.5
ル・コルビジェの開口部
近代建築の5原則〈前編〉 - Vol.4
シュレーダー邸/
H・T・リートフェルト
住み続けられる住まい 〈後編〉 - Vol.3
シュレーダー邸/
H・T・リートフェルト
住み続けられる住まい〈前編〉 - Vol.2
吉村山荘/吉村順三
居心地の良い住まい〈後編〉 - Vol.1
吉村山荘/吉村順三
居心地の良い住まい〈前編〉 - Vol.0
創刊準備号寄稿文
居心地の良い場を創るディテール
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ディテールの冒険 vol.16
スカルパの開口部<後編>
新旧の窓が創り出す美しいハーモニー
・カヴィーナ・ショールーム (1961-1963)
家具メーカーのショールーム。表通りから一歩入った薄暗い北向きの裏通りに面する3階建ての1階部分の改修です。建物と建物周辺は、ポツマドが連続する伝統的な古い町並です。カルロ・スカルパは改修にあたり、その伝統的な既存のファサードの1階に象眼するように、荒々しいテクチュアを持つコンクリートの壁を被せました。そこには、既存の開口部と同じ位置に、今までの町並にはない2重の円、L型、円の幾何学の3つの強い形態が穿たれています。
特異な3つの開口部は、卍に延びる金色の帯により繋がることで均衡をとり、伝統的な外観と相まって一つの美しいファサードとして新たな景観を創り出しています。内部には自然光が差し込まず、常時照明がともっています。そのため幾何学形態がオブジェのように浮かび上がり、ショーウィンドーとしての役目を果たしています。
・ヴェローナ市民銀行 (1973-1981)
ヴェローナ市民銀行本店の改修と増築。この建物は様式的なシンメトリーの開口を持つ建物に囲まれた広場に面して立っています。カルロ・スカルパは様式的な本館と古い町並との新旧を明確化するために、構造から外した大きな壁を広場に向かう正面の“顔”として付加しました。
大小の円、四角形の出窓、長方形のスリット等の様々な開口部がアンシンメトリーに配置され、見事にアッセンブルされ、動きがありつつ統一感がある美しいファサードを創り出しています。この動きのあるファサードは、整然とした町並と一体となって新たな景観を生み出しました。
・カステルヴェッキオ美術館 (1956-1964)
中世の古城。増改築が繰り返され1923年には美術館として改築されましたが、戦災で荒廃しました。それの改修改築です。展示室は既存の美しいアーチが連続する強い軸線を持つ空間です。鑑賞者はこの美しいアーチをくぐりながら彫刻を鑑賞します。各部屋には数種類異なった既存のアーチの開口部があります。カルロ・スカルパは、その開口部を活かしながら新たにモンドリアン風に分割したサッシを付加し、既存の開口部をリズミカルに分割しています。新と旧の窓を透過した光が織りなす美しい影が、展示物に適した光の質と量をもたらし、各々の展示室の特徴を創り出しています。鑑賞者は光の質の違いを楽しみながら最良の状態の彫刻を鑑賞することができます。







